
リハビリテーション科
リハビリテーション科
整形外科治療において、リハビリは重要な治療法です。リハビリでは、患者さん一人一人にあわせた治療のゴールを設定する必要があります。ゴール設定を適切に行うためには、患者さんの病状や身体能力を評価することや、患者さんが日常生活を営むうえで必要とされる運動レベルを見極めることが重要です。また患者さんの生活環境を把握することも大事で、どのような仕事をしているか、誰と生活しているか、何階で生活しているか、など社会的な背景を把握する必要があります。
整形外科疾患だけでなく、心臓や肺の疾患や、脳梗塞や認知症などの内科合併症を評価することも大事です。患者さんの状態を適切に判断し、一人一人にあったリハビリをプランニングしていく必要があります。リハビリには様々な治療法があります。当院で行うリハビリの治療法について紹介します。
筋肉や関節を温めると、痛みが軽減し動かしやすくなります。温めることは痛みの感覚の閾値を上昇させ、組織の代謝を促進して痛みを軽減すると考えられています。慢性的な首、腰、肩、膝の痛みなどでは、筋肉や関節が固くなっていることが多く、まず温めることがすすめられます。体表から温める方法としてホットパックがあります。温めた専用のパックを患部にあてて、体表から温めることで局所の循環を改善し、筋肉や関節の緊張を和らげます。
より深い部位を温める方法として超音波療法があります。超音波は振動を与え、熱を発生させ、表層だけでなくより深い部位を温めることができます。また超音波は血管の拡張作用や血流を促進させる作用もあります。超音波治療器を用いて筋肉や関節を温めたうえで、関節を動かす訓練や筋力を強くする訓練を行うことで、より高い治療効果が期待できます。また超音波は組織修復を促す作用や骨折の治癒を促進する作用もあるため、外傷や骨折の治療の際にも超音波療法は有効です。
超音波治療器 フィジオソノ
酒井医療機器
電気療法は、電気を用いて神経や筋肉を刺激して、痛みの軽減や組織の治癒を促します。当院で用いられる電気刺激治療器は、コンパクトな機器なので、ベッドサイドで使用することが可能です。また当院の電気刺激治療器は超音波治療器に接続させて使用することが可能であり、短時間でより高い治療効果が期待できます。
電気刺激治療器
フィジオアクティブHV
酒井医療機器
神経は脳から脊髄となって背骨の間を通過し、枝分かれして、手や足につながっていきます。加齢による脊椎の変形や椎間板ヘルニアなどの脊椎の疾患によって神経の通り道が狭くなり、神経が圧迫されると、手や足、首、腰などに痛みや痺れが生じます。牽引療法は、首や腰を牽引することで、狭くなった神経の通り道を拡大させ、神経の圧迫を軽減します。また牽引により、背骨の周りの筋肉のこわばりを軽減し、首や背中、腰の痛みを改善します。
腰椎牽引機器
トラックタイザー
ミナト医科学株式会社
関節可動域訓練
外傷、炎症、変形、運動障害など様々な要因で関節は固くなります。関節の可動域が制限されると日常生活動作に支障がでてきます。また一つの関節の可動域が制限されると、その近傍の関節や対側の関節の負担が大きくなります。関節可動域訓練では固くなった関節の動きを改善することを目的に行います。痛みが強い場合や可動域の制限が高度な場合は温熱療法や電気療法を併用して関節可動域訓練を行います。
筋力増強訓練
痛みによって十分な力がかけられなかったり、長期間の安静や固定をしたりすると、筋肉はやせてしまいます。筋力が低下すると、関節にかかる負担が増大したり、姿勢の問題がでてきたりします。筋力増強訓練は、筋力や筋持久力を高めることを目的に行います。適度な運動は、筋力増強、筋萎縮の予防などに効果的で、疲労性疼痛(いわゆるコリ)を軽減させます。
歩行訓練・
バランス訓練
自分の力で歩行することは、日常生活を営むうえでとても大事なことです。骨折などの怪我や、慢性の脊椎の疾患や関節の疾患により、関節可動域や筋力低下が起きると、歩行に支障がでてきます。歩行能力の向上には、疾患に対する治療と並行して、歩行訓練を行う必要があります。歩行には高度のバランスが必要なため、平行棒内歩行や杖を使用しての歩行など、患者さんの歩行能力にあわせてリハビリをすすめていく必要があります。
拡散型圧力波治療は、慢性的な痛みが生じている部位に圧力波による刺激を加えることによって、痛覚が過敏になっている状態を改善し、痛みの軽減を図ります。疼みの緩和だけでなく、血液循環を改善させる効果や筋肉の緊張を和らげる効果があります。全身の筋肉や腱の痛みに対して有効で、慢性の運動器疾患やスポーツ障害で効果が期待できます。足底筋膜炎、テニス肘(外側上顆炎)、ばね指(屈筋腱腱鞘炎)、石灰沈着性腱炎、手根管症候群など様々な整形外科疾患に対して適応があります。1回の治療にかかる時間は2~5分ほどです。対象となる疾患の種類や痛みの状態によりますが、週に1回の頻度で、4~6回ほど治療を継続することがすすめられます。
拡散型圧力波治療機器
ショックマスター
酒井医療機器
当院ではリハビリの専門家である理学療法士が患者さん一人一人にあわせたリハビリを行います。様々なリハビリ機器を用いて治療効果を高め、質の高いリハビリを提供します。整形外科医と理学療法士が、密に連携をとり、患者さんの病状や治療の進捗状況を共有し、患者さんの状態にあわせたリハビリを行います。当院では、脊椎や関節の手術は行いませんが、手術可能な病院と連携して、手術前のリハビリや手術後のリハビリにも対応します。また当院のリハビリ室は十分なスペースを確保し、患者さんが落ち着いた空間で、リハビリに取り組んでいただけるよう環境を整えています。
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